先生がいてくれるなら②【完】


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体育祭が終わってすぐの部活動の日。



市橋君が体育祭でのリレーの映像をデータカードにコピーして渡してくれた。


それを──事もあろうか、二年生の部員全員で視聴覚室で見ようと言う事になったのである。


「ねぇ、市橋君、これ、大丈夫……?」


私の言う “大丈夫” の意味を理解しているのかいないのか、市橋君は大きく頷いて「大丈夫だよ」と言うのである。



いや、私もう、不安しかないんですけど……。



自分が走っている所は美夜ちゃんに撮ってもらっていて、それは一応全部見せて貰った(もちろん録画データもコピーさせて貰った)。


確かに最後にいつの間にか藤野先生が私の真後ろまで追い上げていて、思わぬデッドヒートだった事は録音された美夜ちゃんの奇声でもよく分かった。