私は悠斗の笑顔に少し心が痛んだ。
先生には悠斗からの告白をすぐに断るように言われたけど、リレーの事があるからと少し先延ばしにする事をしぶしぶ了承して貰っていた。
だけどリレーを終えた今、話さなくてはならない時が来ている。
「あのね、悠斗。私、悠斗に話が……」
言いかけた所で、悠斗が私の手をグイと引っ張り、私をふわりと抱きしめた。
「お願い明莉、まだ言わないで欲しい……、もうちょっとだけ……」
「う、うん……」
私が何も言えずにいると、不意に横から声がした。
「こらーっ、そこ、イチャイチャ禁止ーっ!」
わっ、美夜ちゃんの声だ!
そうだ、まだ体育祭中だった!
私は慌てて悠斗の胸をグイッと押して離れた。
こんなところ先生に見られたらまた怒られちゃうね。
──また日を改めて、悠斗にちゃんと話さなきゃいけないね。
ちゃんとケジメを付けなきゃいけない。
悠斗のためにも、先生のためにも……そして恐らく、自分自身のためにも……。



