先生がいてくれるなら②【完】


私がニヤニヤ笑いを止められずにいると、悠斗が私のほっぺたに冷たいペットボトルを押し当てた。


「わっ、冷たっ」

「おつかれ。これ1位のご褒美」

「え、良いの? ってか、悠斗だって一緒に走ったじゃん」

「最後は明莉が逃げ切ったから勝てたんだから、良いんだよ」

「え、そうなの? 私、後ろは見えてないから……」

「見なくて正解」

「そう、なの……? ま、いいや。喉渇いてたから嬉しい、ありがと、貰うね」


私は悠斗からペットボトルを受け取った。



さっそく蓋を開けて、ゴクゴクと飲む。


全力で走って汗をかいたから、とても美味しい。


「おいしー。あ、そうだ、悠斗のバトンパス、完璧だったよ」

「当たり前じゃん。俺とお前を繋ぐパスだからな、失敗できねぇよ」

「練習の時から思ってたけど、悠斗は運動神経も良いし勘も良いんだよね。ホントにさすがだった」


私がそう言うと、悠斗は嬉しそうに笑う。