私がニヤニヤ笑いを止められずにいると、悠斗が私のほっぺたに冷たいペットボトルを押し当てた。
「わっ、冷たっ」
「おつかれ。これ1位のご褒美」
「え、良いの? ってか、悠斗だって一緒に走ったじゃん」
「最後は明莉が逃げ切ったから勝てたんだから、良いんだよ」
「え、そうなの? 私、後ろは見えてないから……」
「見なくて正解」
「そう、なの……? ま、いいや。喉渇いてたから嬉しい、ありがと、貰うね」
私は悠斗からペットボトルを受け取った。
さっそく蓋を開けて、ゴクゴクと飲む。
全力で走って汗をかいたから、とても美味しい。
「おいしー。あ、そうだ、悠斗のバトンパス、完璧だったよ」
「当たり前じゃん。俺とお前を繋ぐパスだからな、失敗できねぇよ」
「練習の時から思ってたけど、悠斗は運動神経も良いし勘も良いんだよね。ホントにさすがだった」
私がそう言うと、悠斗は嬉しそうに笑う。



