先生がいてくれるなら②【完】


退場のために整列していて、ふと隣を見ると、私のすぐ隣の列に藤野先生が立っている。


1位の私たちの隣に並んでいる、と言う事は……教員チームが2位だったんだ。



──って、え? あれ??


でも私が覚えている限りでは、教員チームは確か4位か5位ぐらいを走っていた気がするんだけど……。



「立花、お前逃げ足速すぎ」



不意に話しかけられ、私は弾かれたように先生の方を見る。


それに気がついた私の前に立っていた悠斗が私の手首を掴んだので、私は引っ張られるようにして退場門に向かって歩き始めた。


「先生も、オジサンの割には速かったっすね」


悠斗が睨みながら嫌みを含んだ声で先生に言う。


「え、そうなの? 私、ぜんぜん見て無くて……」


「明莉は見てなくて良いよ。──てか、なんでアイツなの?」


「えっ? えっ!?」


悠斗の言ってる意味が分からなくて、思わず立ち止まりそうになる所を悠斗に再び引っ張られるようにして退場した。



──なに!? どうなってるの!?