「ねぇ、立花……」
出来るだけ、甘く──
もっともっと、俺にドキドキして欲しい──
「これだけは、俺から言わせて」
さっきはお前が勇気を振り絞って言ってくれたから。
だから、今度は俺から言わせて欲しい……。
くっつけていた額を少しだけ離して、立花の目を真っ直ぐに見つめる。
「立花、……俺と、付き合って下さい」
たちまち、立花の瞳に涙の薄い膜が張る。
立花は「はい」と言って頷いてくれた。
お互い『好き』と言い合って気持ちを確認しただけでは、俺たちの関係は先に進めない。
それは、俺が “教師” で、立花が “生徒” だから──。
だからこそ、「付き合って」と言うこの一言が必要だと思った。
やっと、一歩、先に進めた。
俺たちは再び額をコツンとくっつけて、笑い合う。
──こうして俺たちは、“ただの先生と生徒” から、“恋人同士” になった。



