「俺のために空けといて。」

お酒の席での、その場のノリだと分かっていても……頭の中でヒカルの声がリピートする。

5年もの間…私は何に縋りついていたんだろ。

別に元カレに未練は無いけれど、かと言って清々しくお一人様ライフを受け入れた訳でも無い。

別れてすぐはスッキリ正々したけれど…今は何もなさすぎるこんな感情が…辛すぎる。

私は指輪を外した。

せめて…泣ける別れのラブソングが似合う恋愛であって欲しかった。

……な〜んて。

どうでも…いいっか。

ここからコレを投げてしまっても…そんなもん。

私は指輪を握った拳を振り上げる。


指輪を拾って埃を払うヒカルの姿がチラつく…。


…………。 何…この感情は?