この観覧車…もう動くことの無いこの観覧車が、なぜか好き。

切なさや、もの悲しさを感じつつも…その姿に気持ちが落ち着いていく。

目まぐるしく進む毎日の情報や流行りから…解き放たれる少しの癒し…そんな気がする。


まるで……私。


毎日、少しずつ朽ちていく……。


慌しい日々に歳を重ねている恐怖を感じ、今となっては…恋する事にも自信が持てない。

ついには、誰かを好きになることさえ面倒になるのではないか…とさえ思う。

身体も心も…少しずつ少しずつ朽ちて…ついには回れなくなる私という観覧車。



あっ……薬指。

そうだ、指輪まだつけたままだった。

なんで…つけてんだろう…。

それくらいどうでもいい事になってしまっている左薬指の指輪にびっくりする。