「どうして…?どうしてですか。」

「園長の娘さんが自ら命を絶って亡くなった経緯を知っていたし……。
このまま私が虐待のことに触れなければ…いつか終わる事だと、ずっと祈ってた。
だって…そうでしょ。
こんな事でわざわざ告発して、騒ぎを大きくする必要がないじゃない…。」

「こんな…事? こんな事じゃないですっ!
煌君の気持ちはどうなるんですかっ…。
どれほど恐ろしかったことか…。」

「橙子先生の前の担任が、園にいられなくなった原因はそれよ。
騒ぎを起こしても…結局いられなくなるのは自分なのよ。」

「パワハラじゃないですか……。」

「園長の娘さん……数年前にホストにはまって、ホテルのベランダから飛び降りたの。
自殺らしいけど…お酒にも酔ってたらしいから事故かもしれないし…もしかしてトラブルかもしれない。
真相は本人が死んでるから…誰も分からないのよ。」

「………そんな……。」

「親のお金…つまり園のお金も使い込んで、それでも足りなくて身体を張る動画の撮影にも手を出してしまっていたらしいのね。
ホストクラブも数件はしごしていたこともあって…誰が本命の推しのホストだったのかもはっきりせず……。
とにかく…トラブルが多くてはっきりした動機が今も分からないままなの……。」