光留…目を覚まして。

私は今、彼の言葉以外…要らないし、信じられない。

私を幸せにする為に、ここに居るんでしょ。

煌君に、観覧車…乗せてあげるんでしょ。

光留…目を覚まして。

大丈夫? どうした?

…って

私を抱きしめて。

…お願いっ…。

私は、ICUの固く閉ざされた扉…ガラス張りの窓の向こう側、管に繋がれて機械に囲まれる光留に心で叫ぶ。

頭や腕、足に包帯を巻かれて眠る彼を見て…私は壁伝いにズルズルしゃがみ込む。

壁を挟んで向こう側に、さっきの相談員の1人だろうか…電話での話声。

声を潜めているつもりが廊下に響いている。

「池上煌さんの件ですが…はい、はい。
退院できればすぐに保護出来ると思います。
施設の方に手続きを…はい、はい、お願い致します。」

保護……?!

自分の無力さに情け無くなる。

誰よりも命をかけて…子供を守ったのは光留なのに…。

光留がいなかったら…2人の命は無かったかもしれないのに…。

悔しくて悔しくて…また涙が溢れた。