涙が視界をユラユラさせる。

炎が映り込む真っ赤な涙が溢れ落ちる。
その雫が生まれてすぐに熱せられているように感じる。

迫り来る炎の前で私はしゃがみ込んだ。



それから…5分も立っていたのか?
……私の中で長い長い数分。

2階のエントランスから男性が意識の無い子供を2人抱えて飛び降りたと聞いて、私はやっと抑えつけられていた腕から解放された。

光留……。

私は目を閉じて…左手の指輪を胸に押し当てて蹲る。


「僕と結婚して下さい。」

少し照れながら左手を握る…ツンとして…それからニッと笑う。

光留の笑顔が頭から離れない。

離したくない。

大好きな笑顔だから……。


どうか無事でいて…光留。

お願いっ…無事でいて。