野次馬ではなく…避難者だった彼と話している後方で…見覚えがある姿を見つけた私は光留のTシャツを強めに引っ張った。

「ねぇっ!!あの子っ!エリさんだよねっ。」

「……煌は?煌は…どうしたっ!!」

古民家の炎を赤く頬に写して…瞳は燃える炎が揺らめいて…光留は早足で人混みを掻き分けて、エリさんの肩を掴んだ。

「煌はっ!!煌は無事!?」

「光留っ!!どっどうしてっ!!!」

エリさんはビクッとして振り返る。

「どう…って。この…騒ぎ。
エリのマンションの近くだし…消防車、すげえ来てるしっ…心配するだろっ。」

「ごめん…光留。」

「煌は…。煌はどこにいる?」

エリさんの口元で重ねる指先が小刻みに震えている。