なかなか始まらない消火活動に不安を覚える。

「おいっ!!早くしろよっ!!何やってんだよっ!!」

野次馬の1人も痺れを切らしている様子。

「消火栓のマンホールの上に無断で車が停まってるらしいんだよっ!!」

「こんな時に駐車違反かぁ〜!!このままじゃこのマンションまで全焼しちまうぞっ!!」

「ったく!!道も狭いし…消防車1台が限界らしいし…!!」

野次馬たちの緊迫した話し声に、私と光留は黙り込んで炎と黒い煙を見つめる。

「あのっ!!このマンションの方は…避難出来たんでしょうか…!!!?」

私は思わず彼らに割り込むように聞いてみる。

「あ…あぁ。わしらがそうだよ。
早い段階で非常ベルが鳴ったから、この通り…通帳だけ持って逃げてきたけど。
これから…どうなるんだよぉ〜。誰か早く…消火始めろよっ!!家が燃えちまうよ!!」