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細い路地の入り口。

数台の消防車が立ち往生する。

光留と私は近くの大通りでタクシーを降りると入り組んだ道を走り抜けて、エリさんのマンションの前で息を切らせた。

駐在所の警察官がマンションに近づかないように野次馬の誘導に声を張り上げている。

勢いよく燃えているのはマンションの隣の古民家。

けれど目の前のマンションのいくつかの窓からも、既に煙が吐き出されているのが見える。

燃え移る勢いが乾いた風のせいか…早い。

「煌っ!!煌っ…!!」

煙が噴き出る2階の隅の部屋に向かって光留が呼び掛ける。

私は野次馬の中に避難した煌君の姿がないかを探す。

焦りの中…ひたすら煌君のシルエットを探す。