ベッドに座り直して謝る私を横目に…光留は何かを感じて、窓の外に視線を流す。

「なんか…赤色灯…多くない?
さっきより増えてない……?」

「……えっ……。」

私は透き通るようなガラス窓から街の灯りを確認する。

「火事…かな…?」

「火事っ…!!本当だ…あそこ観覧車とは逆側の…ほら、あそこ煙が見える。」

「マジかよ…あの辺り…エリのマンションのすぐ近くだよ。」

「嘘でしょ…。」

「もっとよく見せて…」

光留は窓に額を寄せてじっと瞳をこらす。

「まずいよ。ここからだと…本当にエリのマンションから煙が出てるように見える。」

「迎えに行こっ!!光留。行こう…煌君のところっ。」

光留は返事をする前に既に立ち上がって…ジャケットを掴んでいた。

「ごめん…橙子っ。
せっかくの記念日なのに…一緒にいてやれなくて。」

「何、言ってんの!私も行くっ!!」

「でもさぁ……。」

「家族なんでしょ。家族に…してくれるんでしょ。」

「……ああ。家族だよ。」

「なら、当たり前じゃない。私も連れて行って……。」

光留は指輪が光る私の左手を握りしめると…スイートルームから飛び出した。