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たぶん…この小さな街で1番のタワーマンション。

光留のマンションからさほど離れていない。

光留は簡単にレイジ君の部屋のセキュリティを解除して最上階へと向かう。

一年半前まで光留が住んでいた部屋らしい。

いつだったか話してくれた。

タワマンのいっちゃん上に住んで下界を見下ろしてやるっ!

って…いう夢も1週間ぐらいで覚めたらしい。

って言うのはカッコつけで…

普通に…高いし、怖いし。

普通に…なんか面倒臭い。

が、下の階に引っ越した理由らしい。

光留らしいなぁ…て、その時は思ったけれど…

今、急いでいるとホントにもどかしい。

見るからに高級なエントランスのセキュリティも、静かで速いであろうエレベーターも、もどかしくって仕方がない。

階段で駆け上りたいけど…最上階はエレベーターを待った方が速いに決まってる。

光留は迷わずレイジ君の部屋の扉を開くと、土足のまま寝室へ飛び込んだ。