「アコ…今日頑張ったね。
今日…本当に笑顔で頑張ったね。」

アコと私の間で…真っ赤な薔薇の花びら達が音も立てずに舞い上がっては降り落ちる。

叫びのような声は声にはならず…アコの肩を震わせる。



「橙子…アタシね…自信ない。
この子がレイジの子供なのか…自信ないんだ。」


もし…道を間違っても、

もし…道に迷っても、

あの観覧車は見えるのカナ?

空に近い…あの天辺は見えるのカナ?


アコは洗面台に顔を突っ込んで、嗚咽する。


「橙子……ヒカル君も辞めた方がいい。
愛なんて無いから…できる仕事なんだよ。
愛なんて無いから優しくできるのっ!!
愛なんて無いから抱けるのっ!!」

エゴ…?

愛…?

欲…?

ピュア…?

お金…と数字?



アコ…盲目だよね。

本当…なんて見えない…盲目。

分かるよ…アコ。

私も盲目かもしれない。

だって、こんなアコの身体を支えながら…やっぱり光留のことが好きなんだから…。