「橙子、先にロビーで待ってて…私、お手洗い。」

「うん。ロビーで待ってる!」

リゾート風のオシャレな結婚式場のロビー。

待つこと10分…15分…。

…………。 ………?長くない?

私はアコに声を掛けながら、トイレの中の様子を伺う。

「アコ?アコーーーー?」

式が終わって屋上のカフェでお茶して来たせいかロビーはもう人の波が引いた後だった。

「アコっ!!」

私の目に飛び込んで来たのは…彼女以外にひと気のない化粧室。

鏡越しに目が合ったアコは、ビクッと肩を強張らせた。

その肩が微かに震える。

「アコ……?ど…どうしたの?これ……。」

私は思わず辺りに誰もいないことを確認すると…彼女に走り寄った。