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もし…今がすごく幸せで充実している人がいるとしたら、その人には…

見えないのかな?

見えないのかもしれない…

この観覧車。

この廃遊園地の動かない観覧車。

私には、ハッキリ見える。

おかしいよね。

なんでこんな所に辿り着いたのか…

私は川の堤防から、河川敷とは逆に広がる廃遊園地を見下ろした。

〝 立入禁止 〟と書かれた廃遊園地の入り口。

暗い廃墟の先に聳える大きな観覧車は、黙って立ち往生している。

〝家族の象徴…みたい〟

光留の言葉が、ドクンと私の鼓動を止める。

一瞬でも、光留の側にいたい…煌君の側にいたい…なんて簡単に思ってしまった自分を現実が肩を叩いたような気がした。