小走りから…いつしか走り出した私は、とにかく感情が冷えていく所まで、ひたすら走った。

初めから分かってたことなのに…

光留がバツイチだってことも、光留の仕事も…煌君のことも…

でも、エリさんに会ってしまうと…なんだか負けてしまいそう。

自分の立ち位置が…不安定すぎる。

どうにもならない嫉妬に支配されそうで怖い。

胸が…苦しい。

この苦しい胸を走ることで誤魔化してみる。

おさまれ……私。



はぁ…はぁ…



走ることも…止まることも…

苦しい。



そっか…はぁ…はぁ…



人を好きになるって…そうなのかな。

走ることも、止まることさえも…苦しい。


AI恋愛……千奈美はやっぱり賢いのかも。



街の真ん中を流れる大きな川の堤防に沿うヘルスロード。

せせらぎを聴きながら私は徐々にスピードを緩めて、息を整えた。