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「アコっ!…ちょっと待ってよ!何?
何?急いでんのっ?」

「いいからっ!早くっ。コッチ!!」

私とアコは、千奈美と彼(プーさん)の邪魔をしないように…程良くタイミングを見てマンションを、おいとますることにした。

階段を降りてすぐにアコのスマホが、ピコンピコンと騒ぎ出す。

何となく…顔色が変わっていくアコを気にしつつ、私たちは繁華街を避けて路地裏へと進んだ。

「橙子っ…コッチ…。」

アコが私の手を引く。

「何?どーーしたの?いったい……。」

「シッ!!」

アコが私をお店の看板の裏に引っ張り込んだその時………

遅かった…みたい。

「何んで、逃げるの…?」

聞き覚えの無い男の声が私の背後で響いた。