「俺は平気だよ。先生も濡れちゃったね。」

「ううん。大丈夫っ。
ヒカル君のお陰であんまり濡れてないよっ。」

「(笑)よかった。雨、少しおさまるまで上がって行きなよ。」

ヒカルは慣れた手つきでエントランスのオートロックにスマホをかざすと、スタスタと中へと進んだ。

「あっ……。で…でも…。」

「橙子先生っ!早くっ〜こっち。
アザラシちゃんを助けなきゃ…!」

遠慮する私の手を煌君が引っ張った。