咄嗟に…私はその小さな手首を握りしめる。

「でもね、いいよ。折り紙、破れちゃったんでしょ。仕方ないよね…。」

「……………。」

煌君は意外な顔をして、私をじっと見上げる。

「ズルーーーーいっ!煌君だけっ。」

「煌君だけじゃないよ。先生は、まりなちゃんの折り紙が破れてしまっても同じように…いいよって言うよ。」

私の…正義だよ。

可愛いリズムのインターホンが鳴る。

“ いつもお世話になっております。まりなの母です。”

「先生、さようならっ!」

まりなちゃんは、サッサと身支度をすると玄関へと駆けていった。

また…

煌君と2人きり。

「はぁ…パパ…遅いね。」

私は思わず溜め息…おっと…ダメダメ、煌君が寂しくなっちゃう。不安にさせちゃう。

「パパ、来ないかも…。」