「こ、これは一体何なんですか？」

リヴィアが不安げな表情になり、「わかりません！！」と圭介は返す。蘭はエメラルドのブローチを握り締めた後、圭介の方を向いて言った。

「私が彼らの相手をします。深森さんはご遺体を法医学研究所まで運んでください」

「で、でも！神楽さんを置いて行くだなんて……！！」

そう言う圭介に蘭は真剣な顔で言う。

「もしもご遺体が彼らに奪われてしまったら、ここにいるリヴィアさんやベルナルドさんの悲しみは永遠のものとなります。私は……ミゲウさんの死の真相を明らかにしたいのです！」

圭介にそれだけを伝えると、蘭は素早く車から降りる。ゆっくりと近づいていた男性たちは蘭の元へ走ってきた。蘭も走り出す。

殴りかかろうとする男性の手を避け、蘭は相手の頭を蹴り飛ばす。男性の一人のみぞおちを殴って気絶させ、攻撃をしようとする他の男性に向かって気絶した男性を投げ飛ばしたりもした。

圭介は戦う蘭を見てハッとしたのか、すぐに車を走らせていく。男性たちは車に戻って追いかけようとするが、蘭は車の前に立ち塞がった。