はつ恋。

「それでは、ドラゴンフライコースター、しゅっぱ~つ!」


係員さんに手を振られたけど、振り返す余裕なんてなかった。

コースターはどんどん加速し、最初の山を登っていく。


「うぉ~!」


有馬くんは楽しそう。

けど、私はもう撃沈。

乗りたいって言ったのは私なのに、まさかこんなことになるなんて。

心臓がバクバクうるさくてこのまま天まで昇って行きそう。


「日奈子、手」

「ごめんなさい!お借りします」


自ら有馬くんの手を握り、その時を待った。


「そろそろだ」

「うん」


3、2、1......


「キャーーッ!」

「お~っ!」


この重力、耐えられない~!

ふわっと浮いて浮いて浮きまくる。

時々カーブも来て、その度に体が傾き、涙が空に吸い込まれていく。

何度も何度も叫んで、

気がついた時には終わっていた。