はつ恋。

「へぇ、なんか、面白い話だね。有馬くんにすっごく興味持っちゃった。なかなかな男だね、あれは」

「面白がる話じゃないですよ。男女の交際というのはもっとこう...真剣なものであるはずじゃ...」


そう私が言うと知里さんは人差し指を立てて左右に振った。

そして、その人差し指を頭に持っていく。


「恋愛はここでするもんじゃない」


胸を指差す。


「ここでするもの、なんだよ」


心......か。

恋というのは、心の動きなんだ。


「直感で惹かれ合った関係...つまり、一目惚れは1番長続きするって教授が言ってたよ。ひなちゃんの恋は初恋で、一目惚れ...。これは、いい恋の予感しかないよ。彼も彼で面白いし、ワタシは当分見守るわね。ただし、なんかあったらちゃんとワタシに相談すること。いい?」

「あっ...はい」


私が頷くと、知里さんは兄を落としたとびきりの笑顔を見せてきた。


「恋、楽しんで」