はつ恋。

もごもごと私が独り言のように呟いていると、有馬くんの足がピタリと止まった。

私も慌てて急停止する。

そして、顔を上げて淡いオレンジ色の街灯に照らされる赤髪を見ていると、有馬くんが振り返った。

バッチリと目が合い、反らしそうになると、彼の唇が私のおでこに降りてきた。


「いい緊張感なんだろ?」

「あっ、えっと...まぁ...」

「これからもっとドキドキさせてやるから覚悟しとけ」

「えっ...えっと...えっと......」


もう、ダメだ。

頭が回らない。

自分の考えも、

有馬くんの気持ちも、

何もかも分からない。

なんでこんなことになって

なんでこんな場所で

なんでこうしてるのか、

全然分からない。

いや、でも......そうじゃない。

きっと、忘れてしまったんだ。

思いだそう。

あの日、

ピンクのカーテンが激しく翻っていた

あの保健室で

何があって、

どんな言葉を交わして

こうなったのか。