赤髪の彼だった。

冷や汗が全身から吹き出る。

ヤバイ。

マズイ。

赤髪さんに見られてしまった。

不法侵入で訴えられるかな?

私、裁判所行きになるの?

そうなったらその他の罪も洗いざらい暴かれて、盗撮といわれても仕方ないあの行動についても罪に問われるようになるのかな?

そうなったら、終わりだ。

せっかく友達出来たのに...

この学校から去らなければならないなんて。

そんなのやだよ......。

あぁ、もぉ、どうしよ......。


「そんな顔するなよ」


彼がぼそりと呟いた。

そして、私の腕を掴み、引き寄せる。

彼の胸におでこがゴツンとなって、あっちゃんと出会ったあの日の痛みを思い出す。

だけど、それよりも

それより明らかに強く、

強く強く感じるのは、

胸の高鳴り。

このドキドキは、

このバクバクは、

人を殺してしまうほどに罪なもので、

絶対私の犯した罪よりも重いと思う。


そして、甦る。


あの、夏祭りの夜の熱が...

身体中に巡った名前のない毒の正体が...。


その答えをずっと探して

探し回って

私はずっとあの日を引きずって

引きずり回って生きてきた。

そうなの?

本当にこの人が、

あの時の、

あの人なの?


「他人をあれだけ撮ってるくせに、自分のベストショットは分からないんだな」

「えっと、その......それはどういう......」