はつ恋。

私はギャルさんに思い切り腕を掴まれ、そのまま走り出した。

どんどん加速し、引っ張られる。

ギャルさん、すごく元気だね...。

さすがです...。


「はあはあはあ...。着いたよっ...。はあはあ......。待ってて今呼ぶから」


そう言うとギャルさんは扉を開け、中に向かって叫んだ。


「よっちゃーん!ケガ人連れてきましたよー!」


しかし、中から返事がない。

もしかして......


「いないなぁ。そういや、子供まだ小さいから時短勤務って言ってたなぁ」


そ、そんな...。

ってことは、私はこのギャルさんと2人きり?

冷や汗が額と背中を流れていく。


「あのぉ、私大丈夫なので戻りますね。ご心配いただきありがとうございました。では、私はこれで......」

「あっ、ちょっと待って」


ギャルさんが私の視界に嫌でも入り込んで来る。

どうにかこうにか逃れたいけれど、

この様子だと到底無理。


「ねぇ、あなたリボン青だし、もしかして2年?」


嘘をつく必要はないのでこくりと頷く。


「うっそ!めっちゃ嬉しい!あたしたち運命だね!」


運命?

ど、ど、どど、どういう発想?

ギャルさんについていけないのですが...。


「ねぇ、あなた名前なんて言うの?教えて教えて!」


ケガのことは忘れてしまったよう。

私の名前を聞きたくてしょうがないって目をしてこちらをじっと見つめてくる。

この目に捕らわれてしまったら、もう言うしかない。

黙っててもいいこと無さそうだし。


「私の名前は...花室(はなむろ)日奈子です」

「日奈子?マジで?!子つくの?!いやぁ、またまた運命だ!あたしも子つくんだよ!あたしの名前はね......」