はつ恋。

「ふわぁ...」


アクビを1つしてから洗面所で手洗いうがいをし、自分の部屋に荷物を置いてからリビングに向かった。

至るところに世界各国の風景が飾られている、騒がしいけど、見ていると楽しくてなんだか安心する空間だ。

世界各国を飛び回るプロカメラマンの父は、1年のうち10日ほどしか日本に滞在しない。

母と死別し、兄が高校入学してからというもの、ずっとこんな生活が続いている。

実質兄と2人暮らしだけど、寂しいと感じたことはあまりなく、むしろ父が楽しんで写真を撮り、その写真を見て私が笑顔になれるんだから、とても良好な関係だと思う。


「お父さん、今頃どこにいるのかな?」


なんて思いながら、アラスカで撮ったオーロラの写真を見る。

私のお気に入りの1枚だ。

死んじゃう前に1度でいいから、こんな幻想的で美しくて心が浄化されそうな景色を見てみたい。

それと......

私を大事に想ってくれる友達と

私を守ってくれる優しい恋人に

出逢いたい、

かな...。


どうでもいいことはさておき、とっとと食べてとっとと課題を片付けて寝よう。

私は気合いを入れ直し、冷蔵庫の中身を漁った。