はつ恋。

私の目の前には、赤い暖簾がある。

この向こうに広がる風景は1秒で想像が出来る。

私は引き戸をガラガラと開けた。


「いらっしゃいませ!...って、日奈子じゃん!ひっさしぶり~!」

「あっちゃん、苦しいよぉ。一旦離して」

「ああ、ごめんごめん。嬉しくって、つい」

「今日はね、あっちゃんのリクエストにお答えしてちゃんと連れてきたよ」


あっちゃんの顔がみるみる曇っていく。


「えっ。もしや......。あっ...」


有馬くんが私の背後に立ち、私の肩を抱き寄せた。


「どうも。有馬灯環です。日奈子がいつもお世話になってます」

「こちらこそ、ど~も。うちの日奈子がお世話になってますぅ!」


睨み合う2人。

あわわわ。

どうしよう。

なんとかしなきゃ。