後ろにのっけてる成宮が危なくないように、注意してブレーキかけるんだけど……重力がかかる度に背中に触れる身体の感触にドキドキが止まらない。
恥ずかしくて恥ずかしくて、会話も無く無言で漕ぎつづける。
「ごめんね、おばあちゃんはしゃいじゃって」
「別に」
背後から聞こえる申し訳なさそうな声。
まだ気にしてたんだ。旨かったし別にいいんだけど……。
「おばあちゃん……助けてくれてありがと」
右耳の傍で囁かれた言葉と、甘い香りと、ふっとかかる吐息に……俺の心臓は爆発寸前。
「いや……」
そう答えることが精一杯だった。
目の前に段々と近づく俺らの学校。
キッ!
「わっ!」
ヤベッ、手元が狂った。
ついつい、勢いよくブレーキをかけちゃった。
ぎゅ……っ
どん!と身体に感じる軽い衝撃。
一瞬後ろの成宮を心配したけど、その小さな身体を背中で受け止める。
そして俺の首に回された腕。
「あ……」
小さな声が聞こえた。
首に触れる柔らかい布の感触と、甘い香り……何より直に成宮の身体が触れてると思うだけでもうダメだ。
「サンキュ……もうここで」
もぅ早く別れよう。
ドキドキし過ぎて心臓が爆発しそう。
駅までなんてとてもじゃないけど身がもたない。
でも
一向に離れる気配が無いんだよ。
なんで?


