「ご馳走さまでした」
「おや、もういいのかい?」
ビッグサイズのハンバーグにサラダ、スープ。
ご飯のおかわり進められて頑張ったけど、流石に三杯は無理。
「食が細いからそんなに痩せてるんじゃないのかぃ?それにしたって、同じ痩せてるんでもリュウはもっと食べるのにねぇ」
「お兄ちゃんは特別なの!人それぞれなんだから」
「そうかねぇ………まぁいいさ。これも食べなさい」
ばあちゃんが運んできたのはデザートのケーキ……ヤバイぞ、腹一杯。
◆◆◆◆
「駅まで送るよ」
「いい。もう暗いから」
「自転車だから大丈夫だよ」
外は真っ暗。こんなとこを女の子一人で帰せない。
首を振ったけど、がんとして譲らないのはばあちゃん似か。
「……俺こぐから、後ろ乗って」
もうこうなったら早く帰すほかない。諦めて、後ろを指差す。
まぁ、二人乗りなんて願ってもないチャンスなんだけどさ。
おずおずと後ろに乗る成宮。
肩に感じる小さな手の温もりと自転車にかかる僅かな重さが、なんだかこそばゆい。
「お邪魔しました」
「はいはい、またおいで」
軽く会釈して、上機嫌で手を振るばあちゃんを残して勢いよくペダルを漕ぐ。
「……ちゃんと捕まってて」
「うん」
好きな人とこんな近くにいるなんて信じられない。


