〜side剛くん〜


「なぁ…尋斗。
リンちゃんに会いに行ってるのか?
やっぱり、お前
もうすぐ、お別れなんだよな?…。
ほんと。双子って…なんで……。
こんなわかんだよな?なぁ?尋斗」

俺は、尋斗がこんなことになって
一度も涙を流してこなかった。

泣いても、自分可愛さで泣いてるだけのようで。
お袋を笑って支えてやりたいし、

泣くのは尋斗が目を覚ました時と
決めていたから。


なのに…

涙が止まらなくなった。


魂が痛いよ。


尋斗が泣いているようだった。


この痛さは、悲しさからなのか?

それとも…。



「お前と、俺、同じ子好きになって笑
なぁ…。尋斗…。
俺さ…。
念とか、幽霊とかあんま信じてないけどさ…。
俺さ…。今なら、お前が最後に叶えたい事があるなら‥。…。馬鹿な話だけど…。
俺を使ってくれよ。

そんな映画あっただろ…?

身体借りて…好きな人に触れて…。

なぁ…。尋斗。
なぁ…。…。頼むよ…。俺を使ってくれよ」


溢れる涙で
尋斗が歪んでしか見えない。


尋斗を強く抱きしめて布団で声かき消しながら

思いっきり泣き叫んだ。


馬鹿みたいに泣いて、泣いて

泣き叫んだ。


尋斗と魂が一つになって、


一緒に


馬鹿だなって…。


馬鹿だなって…。


泣き叫んだ!


リンちゃんと出会えたから、俺は
泣けた気がする。

尋斗は、自分が会いたかった気持ちより

もしかしたら、

俺や、リンちゃんが

苦しまないように、素直に生きていけるように

出会わしてくれたのかも知れない。

って。




俺は…。もう、自分を責めたりしない。
よ。


約束する。

「尋斗。俺は、間違えてるか?
神様…。どうか。
、尋斗の叶えたかった事を。
俺の身体で…最後に…最後に…
お願いだから、使ってくれよ…」


雨は、いつのまにか静かにあがっていた。