授業が頭に入らない日だった。

陽子に剛くんと会うことを話した。

ついていこうか?と気にしてくれたけど
甘えてばかりじゃいけない!

わたしは、少し
強くなったようだ。

陽子には、また、今日の事連絡する。
と伝え、
剛くんと待ち合わせの喫茶店へと足早に向かった。

喫茶店には、マスターがいた。

「いらっしゃい」
そうゆうと、

カウンターにおいでと手招きし
、カウンターの椅子に指をさした。

カウンターの席に座ってってことかな?

私は軽くペコリと頭を下げて
カウンターに行き椅子に腰を下ろした。

「昨日は、ミックスジュースありがとうございました。美味しかったです」

「美味しかったならよかった」

マスターは、私の前に 水の入ったコップをおいた。

そのコップは、氷で汗をかいていた。
よほど冷たいのだろう。

一口飲んでみるとやっぱり
ひんやりして、軽くレモンの味もした。

「美味し〜」

思わず声が漏れた。

クスッとわらいながら
「ありがとう〜」と、マスターが囁き声で答えた。

《チリンチリン〜ン》
扉が開く時に鳴る鈴がなった。

振り返ると、剛くんだった。

「ごめん!待った?」

少し息を荒げて、肩を上下に動かしながら言った。


…走ってきたのかな?


「私もさっき来ました」

「なら、よかった〜」

メガネの後ろの小さな垂れ目が
尚更垂れ目になった。

…尋斗くん…。

思わず、そう呼びかけた。

あっ…。違う。剛くんなのにっ!
錯覚しそうで。

「じゃ。りんちゃん、病院に…いこうか?」

私は、今から、危篤の尋斗くんに会うんだ。

「うん!」

私は席を立った。

「でも…リンちゃん…ほんとに尋斗に会って大丈夫?…」

心配をしてくれてたんだ。
やっぱり優しいな。

覚悟してきた。
もう、逃げない。後悔しない。
そう決めてきた。

「はい!大丈夫です!」

きっと、尋斗くんとは、運命の出会いなんだ。
どんな結末が待っていても、彼と会いたい。

私は、胸が熱くなった。

剛くんの前に立ち
剛くんに大丈夫って笑って見せた。

剛くんも背が高くて、私をかなり 見下ろしながら、

ニコッと私の目をとらえながら微笑んでくれた。

私も、彼の目を見ながらうなずいた。

…なん…だろ?この気持ち。。

私は、剛くんの目を見つめたまま、微笑みながら、ボーっと、
しばらく見つめあっていた。


…あっ!しっしまった。
私、どうしちゃったんだろ…。

目をパチクリしながら、首を軽く左右に振り
意識をもどした。

剛くんは。ニコッと笑いながら  店を出た。

私は、マスターに一礼し、剛くんを追いかるように店を後にした。