「ど、どうも……」

私は頭を下げてアイスバーグさんから目を逸らす。すると、アイスバーグさんは私の研究内容の資料などを読み、「これは素晴らしい……!」と呟いた。

「まだ完成には程遠いです。失敗ばかりで……。早く世界を平和にしたいのに……」

実験がうまくいってこの装置が完成すれば、街に幸せの光の粒が降り注ぐんだ。でもこの装置が完成しないと永遠に人は争いを繰り返していく。こうしている間にも、多くの人が傷付いて命を落としているんだ。

「いや、このままでも十分使えますよ」

アイスバーグさんがそう言い、話を聞いていた同僚たちが私を一斉に見る。私も「えっ?」と驚いてしまった。

「実は、政府の中にこういうものを研究する組織が作られているんです。この研究を我々に譲っていただけませんか?もちろんお金は払いますので……」

アイスバーグさんにそう言われ、私の心は揺れる。自分がこうして進めてきた研究をあっさり譲っていいのか?でも、政府の人に任せた方が世界が平和になるのが早いんじゃないか。