「ダメだ。失敗……」

実験のデータを見て私はため息をつく。何度目かわからない失敗だ。多くの人を対象にした装置は作るのが難しい。このままではただの危険な装置になってしまう。

「アーシャ、装置はどうだ？」

「ダメ。また失敗」

同僚にそう言いながら、私は何がダメだったのかを考える。次はこの部品を加えて、この部品は外そうかな……。そんなことを考えていたら、突然研究室の扉が開いた。

「みんな！政府関係者の方が視察に来た！」

研究室の所長が緊張したように言い、その奥からスーツをしっかり着こなした真面目そうな男性が姿を見せる。歳は四十代くらいかしら？

「初めまして、アイスバーグと申します。皆さん私のことはお気になさらず、研究を続けてください」

アイスバーグさんがそう言ってくれたので、私は装置に向き直る。一刻も早く世界を平和に導かないと……！！

実験のデータなどと向き合っていると、強い視線を感じる。振り返るとアイスバーグさんと目が合った。