『…残念だけど転生することは決められたこと。朱里には行ってもらうしかないの。ここに来た時点であの世界での君の存在は無かったことになっているから...。』
 私は頭を殴られたようなショックを受けた。今朝だってお母さんのご飯を食べてお父さんと次の休日はどこに行こうなんて話だってしてた。お姉ちゃんとは喧嘩してても仲は良くてよくお出かけに一緒に行った。
妹だって幼稚園の話を沢山してくれてくれていたのに、それさえも嘘だったと言われている様な気がした。
 『僕の創った世界の均衡が変異していてね...魔法の元である魔素が弱まってしまっていて定期的に異世界から落とし人を送らなくてはならないんだ...。』
「そんな...」
私が今にも泣きそうになっているとラティアスは私の周りをフワフワと飛び回りながら言った。
『その代わり落とし人には僕から素敵なプレゼントをしているんだ。希望があれば願いをなんでも叶えられるよ!』
 「…願いをなんでも?」
 私はラティアスに聞いた。
もうこの転生という運命だかには逃れられないのなら…と覚悟を決めた。
 『うん!強い魔法でもたくさんのお金でも。』
 「分かった。でも私が行く異世界ってどんなところなの?」
私が行く異世界とやらの情報が無いと欲しいものなんて分からない。でも小説やゲームで異世界ものを沢山知っていて良かったかも...。
『朱里の行くのは【カーティア】という世界だよ。そこは魔法とかがあるファンタジーな世界さ!でも魔物とかもいるちょっと危険な世界でもある。』
やっぱりさっき魔法がどうとか言っていたから魔法とかあると思ったけど...。欲しいものか...。