「……」


私は、無言で顔を手で覆った。


「顔、見せて」


ゆっくりと顔から手を剥がされる。


そこから見えたゆうの顔は、優しく笑っていて、そして少し赤い。


「だから、また『ゆう』って、呼んで。なる」


あ、私、ゆうになるって呼ばれるの、好きだ。


安心して、特別って感じがして、嬉しい。


「うん。ゆう」


その呼び方は、久しぶりに口に出したようなでも、ずっと呼んでたような、変な感じだった。


さっきまで、憎たらしいほど軽やかだった風が今度は涼しいって、思えた。