その人は、ゆうの手を振りほどいて、電車から降りていった。


「なる、大丈夫?」


優しい声に涙が出そうになる。


顔をあげれば、その声に負けないくらい優しい表情をしたゆうがこちらを覗き込んでいた。


「ゆう……。ありがとう」


そう言うと、涙が溢れてきて、ゆうの二の腕あたりに顔を押しつけて隠した。


ゆうは、私の頭を撫でるとくるりと180度回転して、私がドア側にくるようにした。


「最初からこうしてれば良かった。ごめん、気づくの遅くて」


その言葉に、私は必死で首を横に振る。


涙はとどめなく溢れてくる。