中学の時、あやふやな答えかたをして、結果竜也にありもしない期待を持たせて。


『ごめん、今はそう言うこと考えられない』


私は、前そう断った。


はっきり、言わなかった。


「……ごめん、ちゃんとあの時断らなくて」


そう言うと、竜也の顔は悲しく歪んだ。


「そっか。でも、断られるのはちょっと意外だった」


歪んだ顔のまま、竜也は辛そうに言った。


「そっか。ごめんね、水谷くん」


そう言った私を水谷くんは、数秒間だけ抱きしめた。


「ごめん、最後に……」


私は、振り解けなかった。


期待させた、私の責任。


「じゃあな、尾上」


私を解放するとそう言って、水谷くんは歩いて行った。


ごめんね、あの時ちゃんと断れなくて。


あやふやにして、ごめんなさい。


そう思いながら、私もその場を後にした。