何万人もの人の視線が集まり、恥ずかしい。怖くて体が震えてしまう。そんなあたしに湊さんはゆっくりと近づいてくる。

えっ?あたし、ここで殴られるとかないよね?不安しかない。でも、湊さんの顔は優しげなもので……。

「ずっとあなたのことが好きです。僕でよければ付き合ってください」

「えっ……」

叶わないって思ってた。でも、湊さんはあたしに今、確かに告白している。胸が高鳴って、湊さん以外何も見えなくて……。

でも、あたしと付き合ったら湊さんは迷惑にならないかな?こんなにもファンの人がいるのに、これってあたしのわがままにならないかな?

「あたし……」

断ろう、そう思った刹那に藍さんの言葉を思い出す。あの言葉ってそう言うことだったのか……。

「俺たちだって人間なんだから、恋の一つや二つするだろ。誰を選ぶかは俺たち次第、誰を選んだっていいんだ」

藍さんの声が聞こえ、湊さんが緊張したような顔を見せる。幸せになっていいなら、あたしはーーー。

「あたしも、アレクさんが好きです。よろしくお願いします」

湊さんが笑い、お客さんたちが拍手を送る。煌めくスポットライトの下、あたしは涙をこぼしながら笑い、湊さんと手をつないだ。