確か出会ったばかりの頃もお前ムカつく、と言われた。 でも今はそれがぶっきらぼうな彼なりの気遣いと言う事が分かったので、全然怖くない。
思わず笑みがこみ上げてくる。
「何だよ、笑って。気持ち悪ぃ」
「ぷ、あはは…。本当にキャラが違うなって思って。
智樹さんも悠人さんも違うし、全く似ていない。 っと、じゃあお言葉通り座らせて貰いますよっと。」
L字型のソファー。隅っこの方に座ると朔夜さんはフンッと鼻を鳴らして、煙草に火をつけた。 煙が私の方へ来ないようにそっぽを向いている事にはとっくに気が付いていた。
「今度、横屋敷の家で親戚の集まりがあるとか」
「ああ、智樹さんから聞いたのか。」
「智樹さんが親戚の前で私を紹介したいって言ってて」
「お前はあんなん出る必要ねーよー。出たって嫌味を言われるだけだ。
じーさんの兄弟の息子達はプライドだけは高くてクソみてぇな奴らだからな。
智樹さんがじーさんから会社の権利を貰うのだって快くないと思ってる。まあ、俺達は貰われ子だから仕方がねぇにせよ、まりあと春太さんに血の繋がりがあるなんて知ったら血相を変えるに違いない。
お前はあんなゴミみたいな奴らに下らん争いに巻き込まれるな」



