この三兄弟とは馴染んできたと思う。師走という事もあって12月終わりから彼らが横屋敷家に顔を出す頻度はグッと増えて、悠人さんは来るたびに私へと女の子らしいラブリーなお土産を持ってくる。

ぬいぐるみだとか、可愛らしい缶に入ったクッキーとか。 妹がもし居たらしてあげたかった事がいっぱいあったらしい。

朔夜さんは意外と面倒見が良い。こうやって仕事の隙間時間が出来ると病院に付き添ってくれたり、私に似合うと大量の洋服を持ち込んだりした。


そんなもの、家族ごっこに過ぎなかったのかもしれないが私には充分だった。
身に余るほどの彼らからの好意に、心が少しずつ満たされていく。

そんな優しさに慣れたくないのに。大切にされた事がない私は、好意にはとても憶病だった。
二人には智樹さんに結婚して欲しいと言われた事を話せずに居た。

「それにしてもよく振りますねー。積もってくれたら嬉しいんですけど」

「げ、それは最悪だ。雪なんか迷惑なだけだ。さみーし、交通機関はストップするし
けれどこんな雪時期に止むよ」

ゆっくりと空から雪が舞い落ちる。
透き通るような綺麗な肌と、グリーンがかった美しい瞳。
儚いもの。儚く美しいものは、少しだけ朔夜さんに似ている。