「なら車で待っていればいいでしょう?」

「うるせ、外の空気を吸いたかっただけなんだ。
どうだあの死にかけの様子は」

「酷い言い方。元気そうでしたよ。まあ、元気そうに見えても日増しに体調は悪くなってるのかもしれないですけど。
朔夜さんも顔位見せてあげたらいいのに。朔夜さん達の話をしたら嬉しそうでしたよ」

「俺が顔を出しても未だにガキ扱いして説教されるだけだ。」

煙草を灰皿に押し付けた朔夜さんは、子供のように唇を尖らせた。

「悠人さんも来れれば良かったのに」

「女とデートで忙しいってよ。でもまりあが来てない時結構来てるよ、あいつ。
俺達の中じゃー一番春太さんに懐いてんじゃねぇの?春太さんも昔から一番可愛がってるし
出来の悪い子程可愛いつー奴だろう」

「だから酷い言い方ですッ。口が悪い」

持っていた傘を彼に向って振り回すと、眉をしかめて身を交わす。

私の手から傘を無理やり奪うと、子供の様に少し意地悪な顔をして、その傘を広げた。私の方にばかり傾けるから、朔夜さんの肩越しには雪が降り積もって行く。

1月、東京には雪が降っていた。