【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~


悠人さんの話をする朔夜さんは穏やかで、やっぱりどこかお兄ちゃんの様な顔を見せるんだ。
そして素直に人の良い所を見つけれるあなたも…やっぱり

「朔夜さんも優しい人だと思います」

「はぁ?」

こちらに向けた瞳は、水族館の青白い空間の中でやっぱり不思議な色で瞬いた。

「めっちゃトイレ混んでたー!
朔夜、まりあ何食べるか決めた?!
って、何か朔夜顔赤くない?!」

「べっつに赤くねぇよ!おい、まりあ何を食べるんだ」

「え~…絶対赤いじゃん、まりあに何か言われた~?
俺の居ない間に二人で秘密の話とか嫌だからね~?」

「そんなんねぇよ。それにしてもあっちぃ。早く出るぞ」

もしも私にお兄ちゃんが居て、普通の家族で育ってきたのならばこんな感じだったのだろうか。

今日一日、ずっと笑っていた。憂鬱な気持ちになる事は無かった。 楽しくて、またこんな時間を過ごしたいとさえ思った。


結局食べたい物は決まらずに、朔夜さんの知り合いのお寿司屋さんに行く事になった。

水族館で魚を見た後にお寿司を食べるなんて、中々サディスティックな行為だとは思うけど、朔夜さんの知り合いだ、と言ったお店は驚く程美味しいお寿司を出してくれた。