【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~


イルカのショーで水をかぶって悠人さんと顔を見合わせて笑う。

でも何故か1番被害が及んだのは朔夜さんで、ワックスでふわふわにセットした髪はぺたりとしてしまい、それに一人で怒っていた。そんな事さえ笑えた。

お土産屋さんで悠人さんが今日の思い出、とお揃いのイルカのぬいぐるみを買ってくれた。 私は本当に子供に戻ってしまったのかと錯覚する程はしゃいだ。

「ふあーお腹空いたぁ~、朔夜なんか奢ってよぉ~」

「はいはい。分かったよ。何食いに行く?まりあ」

「ん~…ん~…何でもいいですけど」

「お前が決めろよ。女の癖に1番俺らより食う癖に」

「私は物を残すのが嫌いなだけなんです…!」

「まあ、まあ、朔夜もまりあも~
てゆーか俺ちょっとトイレに行ってくるからそれまでに何食べるか決めておいてねぇ~」

水族館の出口で、悠人さんはトイレに行ってしまった。
ぐるりと回った出口。さすがは休日で人が溢れていて、入り口にもまだ人が並んでいる。
この水族館のメインであるまぐろの大群の水槽がちらりと見える。

「ここにいる魚って幸せなんでしょうか…」

ついついぼそりと口に出してしまった。 「はぁ?」とこちらに顔を向ける朔夜さんは怪訝な表情を浮かべる。