説明しながらも、朔夜さんは私の顔に指を滑らす。 人に触れられるのは余り得意じゃないけれど、何故か心地が良い。 それはきっと朔夜さんがとても優しく人に触れる人だからだ。
「まりあは少し青みがかった肌だから、ブラウンのシャドウでも悪くないけど
ピンクとか明るい色の方がより一層顔を華やかに見せてくれるよ。」
そう言って筆を取り私の瞼に色を足していく。
そういえば、朔夜さんは美容関係の会社を経営しているんだっけ…。
男らしいというよりは中性的な彼にぴったりな職業だとは思う。
「何か、メイクさんみたいですね、朔夜さん…」
「まぁ一応仕事柄。
つーかお前の化粧が下手糞すぎてやり甲斐があるわ」
「智樹さんから聞きました。美容関係の会社をしているとか」
「とは言っても横屋敷グループの傘下の会社を任せられてるだけ。
昔から机に座ってのお勉強よりもファッションとかアパレルの方に興味があったから。
春太さんにも大学に行けって言われたけど、結局美容の専門学校に行ってたし。
それにしてもまりあ唇が薄いなぁ~…唇が薄いと情も薄いって話だぜ?」
そんな事を言う朔夜さんの唇も私に負けず劣らず薄い。 薄いけれど、血色が良くて形も綺麗だ。
目以外の全てのパーツが小さくコンパクト。けれど瞳だけは不思議な色で程よく大きくて美しい。



