【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~


「はぁ…でも私中卒だし…」

「まりあ、色々と急ぐこともないよ。 取り合えず今度時間が空いた時に病院に連れて行く。
一度春太さんに会おう。まりあに会いたがっている」

「はい…」

私の母の父。それは祖父にあたる人。

だけどそんな存在20年間いなかったんだ。今更急に現れても、いまいち実感はわかない。

けれど助けられてしまい、何もする事がない私は従うしかないのだろう。 生きてしまったのならば、ここに居る以外生活をする気力も今は湧かない。

横屋敷グループも遺産も全く興味がなかったが…。


智樹さんと悠人さんは私を気遣ってくれているのがよく分かった。その優しさに裏があったとしても、建前上は親切にはしてくれる。

けれど物言わずジーっと私を強く見つめる緑がかった不思議な瞳の男は、何かを言いたげに、けれど何も言わずに黙ったままだった。

私はこの男は苦手だ。本能がそう言っている。その証拠に強く投げかけられる視線を逸らし続けたままだった。