「まりあって淡々としてるよね~
普通それだけの事があったら病んじゃうっしょ?」
「さぁ…。
付き合ってたって言っても愛されていたとは思ってませんでしたし、お金を持ち逃げされたのはきつかったですけど
私の人生ってこんなもんなんだなぁって」
「まだまだ20歳でしょう?なーに暗い事言ってんのさ。
それにまりあはこれから自分の好きな物いくらでも買えるし、やりたい事したかった事全部出来るよッ?!
何てたって、横屋敷の血を引く人間なんだからさ」
「欲しい物も、やりたい事も特にありません」
はっきりとそう告げると、悠人さんは困ったように笑った。
「俺はまりあの事よ~く知りたいけどねぇ~」
悠人さんの人懐っこい態度には困る。困る、というよりは戸惑うに近かったけれど。
私はつまらない女なのだ。 感情が余りなくって、昔から何を考えているか分からないと言われ続けた。 昨日まで付き合っていた男にも、だ。
愛されたい、と願ってはいたけれど人の愛し方は知らなかった。そもそも誰からも愛された事がなかったのだから。
「悠人、まりあが困っているだろう。」
「いや、俺はさぁー明るくしようと思って。
やりたい事がないなら大学に行くとかさぁッ。何かやりがい見つかるかもよ?」



