「智樹さん、私は別に構いません。事実ですし。
きっと私の事は調べ上げたのだと思いますし
確かに付き合っていた彼は怪しいビジネスをしているとは思っていたし、昨日も家に帰ったらもぬけの殻でした。
私捨てられたんだなー位は思いましたけど」
淡々と話すのは、自分の事。
傷つく事にはもう慣れていた。 絶望したというよりかは失望に近くて、海に身を投げる決心をした。
母が死に、義理父は私の養育を拒否した。あんな酷い男に養育されたいとも思わなかったが。
なので中学生の頃から実父の遠縁にあたる親戚にたらいまわしされた。
遠縁とはいえ、殆ど面識もなく父は私が産まれる前に死んだので、どこに行っても厄介者扱いされた。
中学を卒業してからは、自分で生きて行く決心をした。けれどそんな子供の行きつく先はどうしたって夜の街で、年齢を誤魔化して生きて行くために様々な仕事をした。
そして最近まで付き合っていた男はお金にだらしがない暴力男だった。 そんな所は母の血を引いていた。 ちまちまと貯めていた貯金は持ち逃げされた。
下らない女の、下らない人生だ。



